この間の動きについて

ブログの更新について間が空きました。この間の動きをご報告します。

1陣訴訟(2020年1次提訴、2022年2次提訴)について、10月16日と12月4日に尋問を行いました。それぞれ、被災者である原告本人の尋問です。

お二方とも緊張を隠しきれませんでしたが、事前の打ち合わせを踏まえて、自分が経験した作業についてしっかりと答えていました。そして、自らの被害の受けた被害の深刻さ、石綿製品の製造・販売を続けたメーカーへの怒りも述べ、聞いている側にも伝わってくるものがありました。

また、2陣訴訟(2023年提訴)については、11月13日に第1回口頭弁論期日が開かれました。弁護団からの意見陳述のほか、被災者である原告本人からの意見陳述も行われました。5分程度ですが、途中で息が苦しくなり、休みを入れながらの意見陳述で、被害の実相が裁判官にも分かったのではないかと思います。

1陣訴訟の1次提訴から3年が経ちました。高齢の原告も多いことから早期の解決が求められます。1陣訴訟では来年3月4日13時45分から次の原告本人尋問が行われます。来年は尋問を集中的に行い、結審に向けて進めて行く予定です。

7月3日に3陣提訴をしました

7月3日、仙台地方裁判所に第3陣の提訴をしました。原告は宮城、岩手、山形、福島にお住まいの4名で、2名が被災労働者ご本人、2名がご遺族です。

記者会見も行い、その様子は河北新報と朝日新聞に取り上げられています。

(河北新報)

https://kahoku.news/articles/20230703khn000079.html

(朝日新聞)

https://dihttps://digital.asahi.com/articles/ASR746RQFR73UNHB003.htmlgital.asahi.com/articles/ASR746RQFR73UNHB003.html

9月8日に期日がありました

9月8日、仙台地方裁判所で期日が行われました。

まず13時30分からは第2陣の第1回期日が開かれました。ここでは原告の本田正幸さんと弁護団長の小野寺義象弁護士が意見陳述を行いました。

続いて15時から第1陣の口頭弁論期日が開かれました。

その後、報告集会を行い、その様子は報道もされています。

(東日本放送)

https://www.khb-tv.co.jp/news/14639567

 

(東北放送)

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/tbc/147363?display=1

次に公開法廷で行われるのは来年3月13日の予定です。

【2022年4月18日】国との和解が成立しました

2022年4月18日に仙台地方裁判所で開かれた口頭弁論期日で、原告7名について国との和解が成立しました。和解が成立した7名は、被災者4名の遺族です。

この和解は昨年の最高裁判決を受けて厚労大臣と全国の原告団・弁護団との間で締結された基本合意書に基づくものです。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18711.html

2020年の提訴から2年近くの戦いの結果、和解が成立したことは1つの成果かと考えています。その一方で、原告3名については国との和解が成立していませんし、メーカーとの間では原告全員の訴訟が続きます。

今後も、被害の救済に向けて弁護団として取り組んでいきます。

労災支給決定等情報提供サービスについて

厚労省のホームページで「労災支給決定等情報提供サービス」が案内されています。

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000860689.pdf

以下の条件にあてはまる場合に、建設アスベスト給付金の請求に必要な情報を開示するものです。

(1)石綿関連疾病に関する労災支給決定か、石綿救済法の特別遺族給付金の支給決定を受けていること

(2)特定石綿ばく露建設業務に従事したこと

給付金の請求が始まった場合、スムーズに請求ができますので、現時点からこのサービスを利用して、情報の開示を請求してください。

2021年11月22日に第6回期日がありました

11月22日に仙台地方裁判所で第6回期日がありました。

期日では原告と被告メーカーが提出した書面・証拠を確認しました。原告が提出した書面は、亡くなった被災者2名の方が実際に従事した石綿曝露作業と、その際に使用した建材の種類に関するものです。

期日後に非公開での進行協議期日が開かれ、国との和解についての協議も行われました。

次回期日は来年2月7日15時からです。その時には、国との和解について一定の進展があると思われます。

2021年9月16日に第5回期日がありました。

1 2021年9月16日(木)午後3時、建設アスベスト東北訴訟の第5回弁論が開催されましたので、同口頭弁論期日の内容・報告集会についてご報告いたします。

2 第5回口頭弁論期日

⑴ まず、裁判所が、原告側と被告側で、期日前に提出された準備書面や証拠を確認しました。被告ニチアスは、原告の本訴訟での主張に対し、概括的な反論の準備書面を提出していました。一方、原告らとしては、原告7名のうち、3名について、個別に被告の特定や作業内容を特定する準備書面や陳述書他書証を提出していましたので、これらを確認しました。

⑵ 次に、弁護団太田伸二弁護士が、被告メーカーらの共同不法行為責任について、要旨として以下のとおり意見陳述をしました。

神奈川1陣に関する最高裁判決では、被告メーカーらの行為と各被災者の損害との間の因果関係の立証責任(原則的には原告にある)を転換させることを認めたこと、及び東京1陣に関する最高裁判決では、被告メーカーらの製造販売する石綿建材が、各被災者の作業する建設現場に相当回数にわたり到達したことの立証方法につき、厳密な意味での立証を原告らに求めず、以下の簡易な手法を認めました。

すなわち、まず、①当該原告にとってその罹患した石綿関連疾患の主たる原因となった建材(主要暴露建材)を特定します。具体的には、当該原告の職種が取り扱う石綿建材の種類を特定し、さらに当該原告の作業内容、作業態様、石綿粉じん暴露実態、流通・出荷量等から、罹患の原因となった石綿建材の種類を特定します。また、独自の作業経験や就労実態を有した人に関しては発症の主要な原因となった石綿の種類をも主要暴露建材に加えます。

次に②特定した主要暴露建材(石綿建材の種類)については、なお複数(多数)の製品、建材メーカーがあることから、それを国交省データベースによって製品毎に使用される建物の種類の特定、石綿建材の種類によってはシェアが明らかとなっているものがあることから、シェアが概ね10%以上を有するメーカーを絞り込みを行う等といった手順で共同行為者を特定します。

このような共同行為者の特定方法の概要を踏まえ、大工・内装工を例に挙げてさらに分かりやすく説明した上で、本件訴訟でもこのような手法を用いるべきだと主張しました。

⑶ 最後に、次回の第6回口頭弁論期日が令和3年11月22日(月)15時と指定されました。

 

3 報告集会

⑴ 仙台弁護士会館401号室において報告集会が開催されました。

⑵ まず小野寺義象弁護団長から、今回は原告ら7名のうち3名について、被告の特定を行い、作業内容等をも具体化する等、大きな進展があったこと、残りの4名についても、次回までに同様の特定を行う予定であることが報告され、被告らの総論的な反論が次回または次々回までに出されることから、被告メーカーらとの間での紛争が本格化していくが、弁護団もさらに力を入れて取り組んでいくことが報告されました。

⑶ 会場からの発言として、仙台錦町診療所医師の広瀬先生から、最高裁判決を受けて、補償を受けられると期待する人が増えるが、事前に、医師と弁護団が連携をして、提訴するべき事案か否かを判断していく必要性について意見をいただきました。また、中皮腫・じん肺・アスベストセンター事務局次長の尾形さんからは、新規の相談者から、私腹を肥やした被告メーカーが責任を取らないことについて許せない等という話も多く聞き、まだまだ救済すべき方がいること、アスベストセンターとしても本訴訟や第2陣提訴に向けてできる限りの協力をしたいというお言葉をいただきました。

 

4 次回第6回口頭弁論期日は2021年11月22日(月)15時

次回からは、原告ら4名について個別の原告の作業内容の主張立証、被告メーカーらの責任についての主張等を行う予定である一方、被告メーカーからも総論的な反論が出てきて、争いは本格化していくと思われます。これまで以上に、傍聴初め、ご支援ご協力のほどよろしくお願いいたします。

全国一斉アスベスト被害ホットラインを行いました

建設アスベスト訴訟東北弁護団は、10月4日~6日まで「全国一斉アスベスト被害ホットライン」に参加しました。

当弁護団は東北地方からの電話に対応しました。3日間でおよそ30件の電話を受けました。

職種や労災認定の有無は様々ですが、これから弁護団として必要な対応をしていく予定です。

建設アスベスト東北訴訟ニュース(第6号)

1 2021年7月19日(月)午後3時、建設アスベスト東北訴訟の第4回弁論が開催されましたので、同口頭弁論期日の内容・報告集会についてご報告いたします。

2 第4回口頭弁論期日

  1. まず、弁護団長沼拓弁護士が、本年5月17日に出された、建設アスベスト訴訟についての最高裁判決のうち、国の責任に関する判決の要点と意義について意見陳述しました。
    最高裁判決は、⓵建設アスベスト被害に対する国の労働関係法令に基づく規制権限不行使、とりわけ一人親方や中小事業主に対する国の責任、⓶建材企業の共同不法行為責任を明確に認める統一的判断を示したものです。
    国はこの最高裁判決を受けて、翌5月18日に、被害者及びその遺族の方々に謝罪するとともに、継続中の訴訟について和解を進める旨の基本合意書を交わす形で確約しました。また、本年6月9日に未提訴の被害者に対する補償が約束される建設石綿給付金法が成立しました。長沼弁護士は、かかる最高裁判決における国の責任に関する判決の要点を確認し、同判決後の経緯をも確認し、本訴訟でも、この基本合意を踏まえて」国との早期和解に向けて尽力いただきたいと結びました。
  2. 続いて、弁護団菅野典浩弁護士が、最高裁判決における②被告メーカーらの責任について意見陳述しました。
    最高裁の被告メーカーらの不法行為責任については、被告メーカーらの警告表示義務違反を認めるとともに、民法719条1項後段の類推適用による共同不法行為の成立を認めた上で、原告らが主張する石綿建材の現場への到達に関する立証手法を是認しました。菅野弁護士は、このような最高裁判決による原判決の変更や民法719条1項後段の解釈について説明しつつ、次回には同最高裁判決を踏まえた被告メーカーらの共同不法行為責任に関する総論的主張、原告ごとに共同行為者を特定する主張立証をする予定であることを述べました。
  3. さらに、弁護団事務局長太田伸二弁護士が、最高裁判決を踏まえた今後の訴訟進行についての意見を述べました。
    国との間では基本合意書に基づき、和解協議が中心になるであろうことを確認し、被告メーカーらとの関係では、共同行為者の特定が主たる争点になるであろうことを確認しました。また、次回期日までに、国・メーカーで共通する主張として、原告(被災者)ごとの労災資料等の基本的書証とともに主張する予定であり、さらには、被告メーカーらの共同不法行為に関する総論に関する準備書面を提出する予定であることが述べられ、第6回期日では被告メーカーが認否・反論するよう求めました。

3 報告集会

  1. 仙台弁護士会館401号室において報告集会が開催されました。
  2. まず小野寺義象弁護団長から、最高裁判決が内容において画期的なものであることが確認され、建材メーカーの責任はいまだあいまいな部分があるので、しっかり本訴訟でも主張立証していく必要があること等が述べられました。太田弁護士からは、上記の本日の口頭弁論期日の内容につき説明がありました。
  3. 会場からの発言として、仙台錦町診療所医師の広瀬先生、宮城県労働組合総連合の髙橋議長、中皮腫・じん肺・アスベストセンター事務局次長の尾形さんからお話をいただきました。最高裁判決がありましたが、いまだ自己の被害に気付かない人やどこに相談してよいか分からない人も多くいるだろうと想定されることから、被害者を掘り起こし、弁護団とのつなぎの役割に力を注いでいただけるとのことでした。

4 次回第5回口頭弁論期日は2021年9月16日(木)15時

次回以降に個別の原告の作業内容の主張立証、被告メーカーらの責任についての主張等を行う予定です。
新型コロナの影響はまだあるものと思われますが、傍聴初め、ご支援ご協力のほどよろしくお願いいたします。

建設アスベスト訴訟東北弁護団でブログを始めます

 私たちは建設アスベスト東北訴訟に取り組む弁護団です。
 東北では原告10名で2020年8月26日に提訴し、そこから1年が経過しました。
 この間、2021年5月17日に最高裁判決が出され、またその翌日の5月18日に国と原告団・弁護団の間で基本合意が成立するなど、大きな前進がありました。
 その一方で、建材メーカーについては責任があることは認められたものの、争う姿勢を続けており、全面解決まではまだ道のりがあるようです。
 今後、当弁護団の活動を、このブログで随時ご報告していく予定です。
 よろしくお願いいたします。